小さくつまんだ白詰草をつなげてつなげて華冠を作りました。
これをあなたにあげようとピンクの花をさしこんで。
華冠
コン、コン、
扉を叩く音が、シンとした部屋に響いた、
冬の風邪を入れないように、窓を閉め切っているせいだ。
「はーい」
ヴィクトリアは叩かれた扉にかけより、真っ白な手でノブを回した。
「やぁ!」
そこにいたのは、小さな黒猫。
マジック猫、ミスター.ミストフェリーズだ。
手には大きな花束を持ち、いつものように足をそろえて笑っている。
「あらミスト・・・寒いでしょ?入って」
「そんなことより、ハイッ!」
ミストは、手にしていた花束をヴィクに向けた。
ヴィクは素直にそれを受け取り、これどうしたの?と聞いた。
無理はない。今は真冬で、花なんか咲いているはずないのだ。
「おいおいヴィクトリア!ヴィク、僕をだれだと思ってるんだい?」
ニヤリと笑って、ミストが言った。
くるりと開店し、ポン、とまた手の中で弾ける音がする。
「本当は、こっちをあげたかったんだ」
彼の手には、白詰草の花冠に、ピンク色のバラが美しくあしらってあるもの。
ミストはそれを見つめて、ヘヘ、とはにかむように笑う。
「ごめん、あげられないのに、こんなコト言って・・・」
「いいのよ、気にしないわ。それで、どこの可愛い子にあげるのかしら?」
「シラバブさ。始めは君にあげようとして作ったんだ。
だけど、バブが来て、すごく欲しがってさ。」
「あの子は無敵だもの。小さな小さなお姫様」
くすくすと笑って、ヴィクはそう言った。
ミストにもらった、色とりどりの花を、腕に抱いて。
「途中で、ジェミマにも欲しいって言われたけどね」
「まあ、おもてになるじゃない?」
「ハハ、タガーほどじゃないさ」
どうやら君は本当に素敵な人らしい。
今度はきっと、君に華冠を捧げるよ。
END